漫才台本その14「赤ずきん」
ボ「赤ずきんちゃんって懐かしいよね」
ツ「それな」
~
ボ「おばあちゃん。おばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「おばあちゃん。私こんなに大きくなったよ」
ツ「そうじゃなぁ。おっきくなったなぁ」
ボ「いつまでも天国で見守っててね。チーン」
ツ「死んでんじゃねぇか。お仏壇の前かよ。生きてることにしてくれよ」
~
ボ「おばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「今からおばあちゃんの家に行ってくるね」
ツ「じゃあ俺は誰だ。何役をやってんだよ」
ボ「母方のおばあちゃん」
ツ「ややこしいわ。おばあちゃんの家きたところからやってくれ」
~
ボ「おばあちゃん」
ツ「よく来たね赤ずきん」
ボ「ほんとは来たくなかったけどお母さんが一万円くれたから来たよ」
ツ「余計なこと言わなくていいんだよ。赤ずきんいい子なんだよ」
ボ「後で交通費請求するね」
ツ「がめつい奴だな!そんな子じゃないから赤ずきん。もっと素直でいい子なの」
ボ「ねぇおばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「おばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「おばあちゃん」
ツ「なんだい赤ずきん」
ボ「うふ、呼んだだけ」
ツ「付き合いたてのカップルか!名前呼び合って気持ちわりぃな」
ボ「・・・あれ?おばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「おばあちゃんはどうして人間の言葉が喋れるの?」
ツ「バカバカ!いきなり核心に迫るんじゃないよ!細かいとこから聞いてけ」
ボ「あれ?おばあちゃんの目はどうしてそんなに大きいの?」
ツ「それはね、お前のことをよく見るためだよ」
ボ「孫に気に入られようと必死だな」
ツ「余計なこと言うんじゃねぇよ!いいだろ別に」
ボ「どうしておばあちゃんの耳はそんなに大きいの?」
ツ「それはね、お前の声をよく聞くためだよ」
ボ「そうなんだ~!どうしておばあちゃんの耳の穴はそんなに大きいの?」
ツ「え?あの~、耳が大きいからねぇ、その分、穴も大きいんじゃないかな」
ボ「そうなんだ~!どうしておばあちゃんの耳たぶはそんなに大きいの?」
ツ「耳ばっかしつこいなぁ!重点的に聞くな!まんべんなく聞いてこいよ」
ボ「おばあちゃんの腕はどうしてそんなに毛が生えてるの?」
ツ「それはね、お前を抱きしめた時に温かいようにだよ」
ボ「え?おばあちゃん私の体目当てなの?」
ツ「そういう意味じゃないから!もういいから早く口のことを聞いてこい!」
ボ「おっけー、どうしておばあちゃんの口はそんなに臭いの?」
ツ「そこじゃねぇだろ!大きさに関して聞いてこい」
ボ「やっぱり肉食だから臭いの?」
ツ「気づいてんだろ!狼だってよぉ!気付かないでいてくれよ。大きさのこと聞いて」
ボ「おばあちゃんの口は、どうしてそんなに大きいの?」
ツ「それはね――」
ボ「次の4つのうちから選びなさい。A.口が裂けたから、B.人類の進化、C.――」
ツ「なんで選択形式なんだよ!こっちで答えさせろ!」
ボ「おばあちゃんの口は、どうしてそんなに大きいの?」
ツ「それはね、お前を食べるためだよー!」
ボ「きゃー!醤油派?ソース派?」
ツ「のんきか!食べるとき何かけるか聞く余裕ねぇだろ!食べられるんだぞ今から」
ボ「どうせなら美味しく食べてもらいたいでしょうが!」
ツ「そういう問題なの!?食べられる前提でいいの!?もういい、赤ずきん!お前を食べてやるー!がおぉー!」
ボ「きゃー!ってこらー!ちゃんといただきますを言え!!」
ツ「真面目だなぁ!もういいよ」