漫才台本その18「天使と悪魔」
ツ「この前道歩いてたら財布拾ったのよ」
ボ「おぉ」
ツ「そんときに俺の中の天使と悪魔が葛藤してさぁ」
ボ「ちょっと再現してみようか」
~
ツ「お、こんなところに財布落ちてる。これどうしようなぁ~」
ボ「ピロピロピロピロ~、今すぐ交番に届けなさい!」
ツ「俺の中の天使!」
ボ「デンデンデンデン、猫ババしちまいな!」
ツ「俺の中の悪魔!」
ボ「ピロピロピロピロ~、落とした人が困ってるかもしれないわ! デンデンデンデン、そんなもん落としたやつが悪いんだ――、あれ?どこいった?あれ?ない!?・・・・・・今すぐ交番に届けろ!」
ツ「お前が落としたんかい!悪魔の財布かよこれ。知らない人が落としたことにして」
~
ツ「お、こんなところに財布落ちてる」
ボ「ピロピロピロピロ~、今すぐ交番に届けなさい! デンデンデンデン、猫糞しちまえよ! ピロピロピロピロ~、交番に届けなさい! デンデンデンデン、じゃあ、間をとって、交番に行って『猫糞してもいいですか?』て聞こう!」
ツ「悪魔バカなのか!?間とってねぇし!」
ボ「ピロピロピロ、頭いい~!」
ツ「双方馬鹿じゃねぇか!おい!それだと俺自身がバカってことになるじゃねぇか!やり直して」
~
ツ「お、こんなとこに財布落ちてる」
ボ「ピロピロピロピロ~、今すぐ交番に届けて、汚い手で触ってごめんなさいと土下座しながら私の靴を舐めなさい!」
ツ「天使性格悪すぎるだろ!お前の方が悪魔みてぇじゃん!」
ボ「ふふふっ・・・気づいたようね」
ツ「え!?ってことはまさかお前!」
ボ「(顔に手をかけ)ビリビリビリビリ!」
ツ「まさか!悪魔!?」
ボ「いえ、脱皮です」
ツ「どういうことだよ!天使の脱皮は意味が分からん!やり直し」
~
ツ「お、こんなとこに財布落ちてる」
ボ「ピロピロピロピロ~、猫糞しちまいな!」
ツ「あれ?またそっちが悪魔みたいになってんじゃん」
ボ「デンデンデンデン、今すぐ交番に届けなさい!」
ツ「こっち天使みたいだ」
ボ「ピロピロ、もしかして私たち!? デンデン、入れ替わってる!?」
ツ「君の〇は、か!パロディやめろ!やり直し!」
~
ツ「お、こんなとこに財布落ちてる」
ボ「ピロピロピロピロ~、今すぐ交番に届けなさい! デンデンデンデン、猫糞しちまえよ! ピロピロピロピロ~、猫糞なんてダメよ! デンデンデンデン、じゃあ財布の中身だけ抜いちまおうぜ、交番に届けるのも中身だけ抜くのもしょせんは一緒さ!どちらも、‟サツ”がつきものだからなぁ!」
ツ「うまいこと言った!!急に腕見せてきたよ!」
ボ「ピロピロ、あちゃ~一本取られたぁ~!よし、猫糞しよう!」
ツ「ダメダメダメ!うまいこと言われたからって引き下がらなくていいんだよ!反論して反論!」
ボ「ピロピロ、落とした人が探してるかもしれないわ! デンデン、落とした人は探してないさ、今頃病院にいるだろうな」
ツ「どういうこと?」
ボ「デンデン、病院のどこにいると思う?・ ・ ・ ないか~」
ツ「うまいこと言った!!!探し物見つからなくて、『ないか~』と病院の『内科』!」
ボ「よし、猫糞!」
ツ「だから引き下がるな!もういいよ」