漫才台本その11「いちゃもん」
ボ「こないだ町を歩いてたらですね、変な若い男と肩がぶつかっちゃて」
ツ「変な若い男?」
ボ「いちゃもんつけられたんですよ」
ツ「それは災難だったね」
~
(すれ違ってぶつかる)
ツ「いてっ、おい待てよ、おっさん」
ボ「・・・・・・」
ツ「おい、おっさん、お前のことだよ」
ボ「失礼ですけど、私まだ43歳です」
ツ「十分おっさんじゃねぇか。さっき肩ぶつけてきただろ。てめぇどこ見て歩いてんだ?」
ボ「幼女のお乳」
ツ「マジでどこ見てんだよ!気持ちわりっ!なんだお乳って!捕まれ!」
ボ「急いでるんで」
ツ「ちょっと待てよ、ぶつかっといてそれはねぇだろ、謝れよ」
ボ「え?」
ツ「謝れ!」
ボ「幼女のお乳を見てすみませんでした」
ツ「そこじゃねぇよ!いや、そこも省みるべきだけど!ぶつかったことに対してだよ」
ボ「ぶつかってすみません」
ツ「あ~あ、肩の骨折れちまったかもしれねぇなぁ。だから金出せや」
ボ「わかりました。200円でいいですか?」
ツ「いいわけねぇだろ!安すぎるだろ。何もできねぇじゃねぇか」
ボ「え?牛乳買うんじゃないんですか?」
ツ「カルシウムが欲しいわけじゃねぇよ!カルシウム不足で骨折れたわけじゃねぇから。慰謝料だよ!」
ボ「いくら払えばいいですか?」
ツ「そうだなぁ、10万くらいだな!」
ボ「10万!?ちょうどさっき使っちゃったんですよ。じゃあそれを渡します」
ツ「10万で何買ったんだよ?まぁ価値ありそうだから貰っとくわ」
ボ「羽毛布団です」
ツ「絶対怪しいやつだよ!お年寄りが騙されて買わされるやつだろ!いらねぇわ羽毛布団。まぁいい、とりあえず財布よこしな」
ボ「わかりました。買ってきます」
ツ「行かなくていい行かなくて!新品はいらねぇんだよ。お前の財布だせっつってんの!有り金全部よこしなってことだよ」
ボ「それはさすがに無理ですよ。お願いします。見過ごしてください」
ツ「何を見過ごすんだよ。見逃すだろそれなら。とりあえずこっちこい」
ボ「は、離してください!腕離して!やめっ!離してっ!性感帯なんですよ!」
ツ「どこ性感帯なんだよ!腕って特殊だなお前。俺のことなめてんだろ?」
ボ「なめてないです」
ツ「あんまなめてんなら電話で仲間呼んでもいいんだぞ」
ボ「そ、それなら私も仲間呼びますよ!」
ツ「おっさんに仲間なんかいんのか?」
ボ「そば屋とピザ屋」
ツ「ただの出前じゃねぇか!仲間じゃねぇよそいつら」
ボ「デリヘルも呼びますよ!」
ツ「呼ぶな!気まずいだろ!」
ボ「警察も呼びますよ!」
ツ「お!?それは困るよ!やめろ!ちくしょー!覚えてやがれ!」
~
ボ「ね、変な若い男だったでしょ?」
ツ「お前の方が変だったわ。もういいよ」