漫才台本その7「湖の女神」
ボ「金の斧銀の斧知ってる?」
ツ「知ってるよ。湖の女神が出てきて「あなたが落としたのはこの金の斧ですか?銀の斧ですか?」って聞いてくるやつだよね」
ボ「ちょっとそれをやってみよう。俺、女神やるから」
ツ「じゃあ俺、斧落とすわ」
~
ツ「カーンカーン、あ!手が滑って斧を湖に落としてしまった!」
ボ「ブクブクブク、私は湖の女神。あなたが落としたのはこの金の斧ですか?それともこの銀の斧ですか?」
ツ「いえ、私が落としたのは普通の斧です」
ボ「ということは、この金の斧ですね?」
ツ「価値観の違い!女神にとっては金が普通!ヤな女神!」
ボ「は?あんたの普通を他人に押し付けないでほしいんですけど。まじうぜー」
ツ「態度わるっ!なんだこの女神。あーごめんなさい、私が落としたのは鉄の斧です」
ボ「あなたは正直者ですね。正直者のあなたにはこの金の斧と銀の斧をあげましょう」
ツ「ありがとうございます」
ボ「それ水に浮くから」
ツ「偽物じゃねぇか!ヤな女神だなほんと!とりあえず鉄の斧返せよ」
ボ「は?落としたのあんたでしょ?自分で潜って拾いに行けカス」
ツ「態度わるっ!ひどい女神だな!」
ボ「というわけでじゃあね~ブクブクブク」
ツ「いっちゃったし!」
~
ツ「ちょっと待って、お前のやる女神態度悪くね?」
ボ「こっからだから!とりあえずお前、タバコポイ捨てして!」
ツ「はぁ?お前何がしたいんだよ。まぁやるけど」
~
ツ「すぱー、ふぅ~、ポイッ(タバコ捨てる)」
ボ「ブクブクブク、ガコガコッ!よいしょ!」
ツ「はっ!道路の排水溝から!さっきの女神が!」
ボ「あなたが落としたのはこのアルミ缶ですか?それともこのスチール缶ですか?」
ツ「いやそれよく溝に詰まってるやつ!誰が詰めたか知らないけど!違います、私が落としたのはタバコです」
ボ「は?落としたんじゃなくて、捨てたんでしょ?このポイ捨てクズ野郎」
ツ「お前が捨てろって言ったんだろ!相変わらず態度悪いなぁ」
ボ「ま、正直者のあんたにはタバコ一生分をあげましょう」
ツ「それは嬉しいわ」
ボ「どうぞ」
ツ「どうも・・・ってこれ一生分?1カートンしかないけど」
ボ「タバコ吸ってるやつの寿命なんてそんなものよ!」
ツ「ひどいな!そんなことないよ」
ボ「というわけでじゃあね~ブクブクブク」
ツ「排水溝に戻っていった・・・きたな・・・」
~
ツ「いや何やってんのこれ?」
ボ「こっから!こっからだから!」
ツ「こっから何があるんだよ!」
ボ「とりあえず定食屋で箸落として」
ツ「意味が分からんよ。まぁやるけど」
~
ツ「この野菜炒め美味しいな~、あ!箸落とした!かえてもらお、すみませーん店員さーん!」
ボ「はーい、あなたが落としたのはこのスプーンですか?それともこのフォークですか?」
ツ「いや、私が落としたのはお箸です、ってなんで湖の女神が働いてんだよ!」
ボ「あ!あんたはいつもの木こり!」
ツ「もはや自分が木こりだということを忘れていたよ!てかなんで定食屋で働いてんの?」
ボ「ふんっ!落ちてきた斧を売ったお金だけじゃ生活できないからよ!」
ツ「あれ収入源だったの!?」
ボ「今はまだ下積みの時代なのよ」
ツ「女神の下積みって何!?」
ボ「それ食べたらさっさと帰りなさい!この暇人!」
ツ「いちいちむかつくなぁ!さっさと食べて帰ろ。それにしてもこの野菜炒め美味いなぁ~」
ボ「・・・え?」
ツ「ん?」
ボ「その野菜炒め作ったの、私なんだ」
ツ「女神が作ってんの!?まぁ美味けりゃなんでもいいんだけどさ。すごい美味いよ」
ボ「バカバカ!あっち行け!あんたなんかもう知らないわ!・・・でも、ありがと」
ツ「なんか流れおかしくなってきたよ!」
~
ツ「ちょっと待てなんか始まろうとしてるぞ!」
ボ「言っただろこっからだって!さぁ次のアクトいくぞ!」
ツ「アクトて!しゃれた言い方すんな!・・・でも次のアクトを待ち望んでる俺がいる!」
ボ「街歩いててハンカチ落として!」
ツ「了解!」
~
ツ「木こりの仕事も楽じゃねぇなぁ~(ハンカチ落とす)」
ボ「あ、あの~ハンカチ落としましたよ」
ツ「ありがとうございます、って湖の女神!」
ボ「あ!あんたは木こり!・・・あんまじろじろ見ないで・・・今日オフだから」
ツ「女神のオフって何!?」
ボ「オフの日でも、落ちてるものがあるとついつい拾っちゃうのよね・・・職業病かしら」
ツ「女神は職業なの!?役職名なの!?」
ボ「せっかくの休日だってのに、一人で寂しい女神よね。ま、とりあえず形式的なものだから一応やっとくわね。あなたが落としたのはこの金のハンカチですか?それともこの銀のハンカチですか?」
ツ「金銀のハンカチ常備してんのか!?いえ、私が落としたのは布のハンカチです」
ボ「正直者のあなたには、・・・何あげたらいいのかしらね?」
ツ「それなら・・・女神の時間をくれよ」
ボ「え?」
ツ「今日はお休みなんだよね?よかったら遊園地にでも行かない?」
ボ「それってデート・・・バカじゃないの!?女神が遊園地なんて行くと思う!?ほんっとバカね!バーカバーカ!」
ツ「じゃあ、ダメかな?」
ボ「・・・・・・退屈させたら、許さないんだから!」
ツ「さっそく行こう!」
~
ボ「お前やるなぁおい!手が早いなぁ!」
ツ「いや、いいだろそろそろ!待ってただろ?女神も待ってただろ?」
ボ「正直・・・待ってた!」
ツ「な!だろ!?じゃあ次のアクト行こうぜ!はやく!次!」
ボ「考えてない」
ツ「おおおおい!!なんで考えてないんだよ!!一番いい所だろ!!」
ボ「昨日寝落ちしちゃって」
ツ「そこは頑張れよぉ!もういいよ俺が考えるから!じゃあえっと!デート終わりな!また俺が落とすから拾って!」
ボ「お、おう!」
~
ボ「楽しかったね!遊園地」
ツ「そうだね・・・、・・・」
ボ「・・・どうしたの急に?黙っちゃって」
ツ「拾わないのかなって思って」
ボ「・・・え?何か落としたの?」
ツ「ほら、もう落ちてるよ」
ボ「なに?どこにも何も落ちてないわよ?」
ツ「女神に出会ったあの日から!貴女に、恋に落ちてるよ」
ボ「!!・・・木こり///////・・・すごい、嬉しい、ぐす、夢みたい、ぐすっ、べ、別に泣いてないんだからね!」
ツ「貴女が落としたのは!・・・悲しみの涙ですか?それとも、悔し涙ですか?」
ボ「ううん・・・うれし涙!」
ツ「正直者の女神には、これを」
ボ「え!・・・指輪!?」
ツ「樹木、三か月分の指輪です」
ボ「木こりぃ/////」
ツ「結婚しよう!」
ボ「いいの?あたし女神だよ!?」
ツ「たとえ湖の女神でも、俺にとっては、大切な一人の女性さ」
ボ「木こりぃぃ//////あ!やだ、涙で化粧が落ちちゃった!」
ツ「貴女が落としたのは金の化粧ですか?それとも銀の化粧ですか?」
ボ「ただのMA〇uillAGE(マキ〇ージュ)よ!」
ツ「ふふっ!あっはっはは」
ボ「うふふふ!」
ツ「ははは!」
ボ「ふふふ!は~、可笑し・・・でも・・・幸せ」
~
ツ「いやずっと何やってんだよ!!俺たちずっと何やってたんだよ!!変な小芝居してさぁ!」
ボ「よし次は、赤ずきんちゃんと狼の人種を越えた禁断の愛をやろう」
ツ「やらねーよ!もういいよ」