漫才台本その16「ハンカチ」
ボ「すれ違った女性がハンカチを落とした時に、『お嬢さんハンカチ落としましたよ』って声かけられる紳士になりたい」
ツ「しょうがねぇな、すれ違う時にハンカチ落としてやるよ」
~
ボ&ツすれ違う
ボ「あ、お坊さん、ハンカチ落とし――」
ツ「お坊さんじゃないから!お嬢さん!」
ボ「お坊さん?」
ツ「お嬢さん!ハンカチ落としましたよ!やり直し」
~
ボ&ツすれ違う
ボ「あ、お嬢さん、お坊さん落としましたよ」
ツ「お坊さんは落とさんねぇ!あいにく坊主は持ち運びしてねぇんだ!拾って渡してくれ」
~
ボ&ツすれ違う
ボ「あ、お嬢さん、お顔落としましたよ」
ツ「落とすかそんなもん!俺はアンパンマンか!?」
ボ「(持った顔の口の部分をぱくぱくさせながら)オ、オレハアンパンマンカ!?」
ツ「そんなちゃんと落とした顔のほうが喋ってますよっていう演出いらないから!こまけぇんだよ!ちゃんとやれ!ハンカチ拾え!」
~
ボ&ツすれ違う
ボ「はぁいどうもぉ~、今日もこの落ちてたハンカチを使って一発ギャグをやっていきたいと思いますぅ~!」
ツ「ちょっと待て!急に何してんの?」
ボ「あらぁ~?今日のお客さんは元気ですねぇ~!」
ツ「客じゃねぇよ俺!何してんの!?誰だよ!?」
ボ「どうも、ハンカチ広江ですぅ~」
ツ「そういうことじゃねぇんだよ!誰が売れないお笑い芸人をやれって言った!ハンカチを!拾え!って言ったの!やり直し!」
~
ボ&ツすれ違う
ボ「あ、お嬢さん、ハンカチ、すぅ~~~(匂いを嗅ぐ)、落としましたよ」
ツ「一回匂いを嗅ぐな!気持ち悪いよ!普通に渡せ!」
~
ボ&ツすれ違う
ボ「あ、お嬢さん、ハンケチ落としましたよ」
ツ「ありがとうございます!」
ボ「次からはハンケチ落とさないように気を付けてくださいね。せっかく綺麗なハンケチなんですから。ところでそのハンケチどこで買ったハンケチ――」
ツ「ご年配か!!ハンケチハンケチうっさいなぁ!普通にやれ!」
~
ボ&ツすれ違う
ボ「あ、お嬢さん、ハンカチ落としましたよ」
ツ「ありがとうございます!」
ボ「あ、よく見たらそれ俺のパンツだ」
ツ「きったねっ!!何渡してんだよ!変態野郎!ハンカチを拾え!」
~
ボ&ツすれ違う
ボ「あ、お嬢さん、ハンカチ落としましたよ」
ツ「ありがとうございます!」
ボ「次からは気を付けてくださいね」
ツ「あの、お名前だけでも教えてください」
ボ「・・・ハンカチ広江です!」
ツ「お前かい!もういいよ」
漫才台本その15「男らしく」
ボ「もっと男らしくなりたいですね」
ツ「それな」
ボ「ちょっと練習させてよ」
ツ「いいよ。道端で悪い男の人に絡まれて、無理矢理連れてかれそうになって困ってる女の子がいて、そこに『ちょっと待った!その子から手を離せ!』って助けてあげるシチュエーションやってみない?」
ボ「男らしいね」
ツ「じゃあ俺、絡まれてる女の子やるわ」
ボ「じゃあ男らしくいくわ」
~
ツ「ちょっとやめてください、急いでるんで!離してください!」
ボ「ちょっとぐらい良いだろねぇちゃん!」
ツ「そっち!?そっちやんの!?男らしくなりたいんじゃないの?助けるほうやれよ」
ボ「こっちの方が男らしくない?」
ツ「助けるほうが男らしいわ!」
ボ「でも、助ける男って下心あるじゃん?どうせ助けた後に連絡先とか聞き出してあわよくばそっから仲良くなろうとしてんでしょ?」
ツ「偏見がすごいなぁ!絶対助けるほうが男らしいから。とりあえず助けに来い!」
~
ツ「ちょっとやめてください!離してください!」
ボ「・・・・・・ちょっとまっ!・・・・・・まっ!・・・・・・あのっ!・・・・・・あっ!・・・・・・ちょっ!」
ツ「縄跳び入れんやつか!なにリズムよくタイミングうかがってんだよ」
ボ「ちょっと止めに入るタイミング難しいわ。合図出してよ」
ツ「合図?」
ボ「入れるとこで、手叩きながら、はい!はい!はい!」
ツ「それ縄跳び入れん子のためにクラスメイトがやるやつ!すっと来いや!」
~
ツ「ちょっとやめてください!離してください!」
ボ「ちょっと待て!・・・・・・俺も混ぜろ!」
ツ「混ざってくんなや!なに止めてまで無理矢理混ざろうとしてんだよ!助けろよ!」
ボ「どうせ助けた後に連絡先とか聞き出してあわよくばそっから同じようなことするつもり――」
ツ「偏見はいいんだよ!いいから助けろ!」
~
ツ「ちょっとやめてください!離してください!」
ボ「ちょっと待て!・・・・・・あっちの子の方が可愛いぞ」
ツ「めちゃくちゃ失礼だな!他の子に被害がいくでしょうが。被害者を生みださないで。もっかいやるぞ」
~
ツ「ちょっとやめてください!離してください!」
ボ「ちょっと待て!その子から手を離せ!離さないと、こいつを撃つぞ!」
ツ「人質をとるな!小者臭いなぁ!」
ボ「こいつの方が可愛いぞ!」
ツ「そして失礼!正攻法で来い!」
~
ツ「ちょっとやめてください!離してください!」
ボ「ちょっと待て!その子から手を離せ!野郎ども!やっちまいな!」
ツ「数の暴力やめい!小者臭いんだよいちいち!一人で来い!」
~
ツ「ちょっとやめてください!離してください!」
ボ「ちょっと待て!その子から手を離せ!・・・なんだ?やんのかおらっ!ドカッバキッ!くそー!」
ツ「すごい!取っ組み合いの喧嘩をしている・・・!頑張ってー!」
ボ「くそぉ!このっ!早くその子から・・・手を離せー!」
ツ「離してなかったの!?でも今お前と取っ組み合いしてるじゃん!?手どうなってんの!?」
ボ「早くその!998本の手を離せー!」
ツ「千手観音だ!千手観音が絡んできてたんだ!?どういう状況だよ!なんで千手観音が来るんだよ!」
ボ「ったく!二度とこの子に絡むんじゃないぞ!あっち行け!」
ツ「追い払ってくれたんだ・・・ありがとうございます」
ボ「いやぁ~、しつこい宗教勧誘でしたね」
ツ「いや宗教勧誘には菩薩自ら出向かねぇよ!相手は人でやってくれ!神に歯向かわないで!」
~
ツ「ちょっとやめてください!離してください!」
ボ「ちょっと待った!その子から手を離せ!すみませーん、おまわりさんこっちですー!」
ツ「きゃっ!もう逃げちゃいました」
ボ「それはよかった。大丈夫でしたか?」
ツ「はい。助けていただいてありがとうございます。警官も呼んでいただいて」
ボ「はっはっは、警官は呼んでないよ」
ツ「え?」
ボ「(頭を指でとんとんと叩く)」
ツ「すごい!」
ボ「どこかでまたお会いしましょう!さよならっ!」
ツ「あ!待って!せめてお名前だけでも~!」
ボ「・・・はぁはぁ!すみません!警察です!」
ツ「え?警察!?さっきの人呼んでないって言ってたのに!」
ボ「もしやその人、私みたいな顔してませんでした?」
ツ「してました!」
ボ「そいつがル〇ンだぁ~!まぁ~てぇ~!」
ツ「なんだこの茶番はっ!!もういいよ」
漫才台本その14「赤ずきん」
ボ「赤ずきんちゃんって懐かしいよね」
ツ「それな」
~
ボ「おばあちゃん。おばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「おばあちゃん。私こんなに大きくなったよ」
ツ「そうじゃなぁ。おっきくなったなぁ」
ボ「いつまでも天国で見守っててね。チーン」
ツ「死んでんじゃねぇか。お仏壇の前かよ。生きてることにしてくれよ」
~
ボ「おばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「今からおばあちゃんの家に行ってくるね」
ツ「じゃあ俺は誰だ。何役をやってんだよ」
ボ「母方のおばあちゃん」
ツ「ややこしいわ。おばあちゃんの家きたところからやってくれ」
~
ボ「おばあちゃん」
ツ「よく来たね赤ずきん」
ボ「ほんとは来たくなかったけどお母さんが一万円くれたから来たよ」
ツ「余計なこと言わなくていいんだよ。赤ずきんいい子なんだよ」
ボ「後で交通費請求するね」
ツ「がめつい奴だな!そんな子じゃないから赤ずきん。もっと素直でいい子なの」
ボ「ねぇおばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「おばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「おばあちゃん」
ツ「なんだい赤ずきん」
ボ「うふ、呼んだだけ」
ツ「付き合いたてのカップルか!名前呼び合って気持ちわりぃな」
ボ「・・・あれ?おばあちゃん」
ツ「どうしたんだい赤ずきん」
ボ「おばあちゃんはどうして人間の言葉が喋れるの?」
ツ「バカバカ!いきなり核心に迫るんじゃないよ!細かいとこから聞いてけ」
ボ「あれ?おばあちゃんの目はどうしてそんなに大きいの?」
ツ「それはね、お前のことをよく見るためだよ」
ボ「孫に気に入られようと必死だな」
ツ「余計なこと言うんじゃねぇよ!いいだろ別に」
ボ「どうしておばあちゃんの耳はそんなに大きいの?」
ツ「それはね、お前の声をよく聞くためだよ」
ボ「そうなんだ~!どうしておばあちゃんの耳の穴はそんなに大きいの?」
ツ「え?あの~、耳が大きいからねぇ、その分、穴も大きいんじゃないかな」
ボ「そうなんだ~!どうしておばあちゃんの耳たぶはそんなに大きいの?」
ツ「耳ばっかしつこいなぁ!重点的に聞くな!まんべんなく聞いてこいよ」
ボ「おばあちゃんの腕はどうしてそんなに毛が生えてるの?」
ツ「それはね、お前を抱きしめた時に温かいようにだよ」
ボ「え?おばあちゃん私の体目当てなの?」
ツ「そういう意味じゃないから!もういいから早く口のことを聞いてこい!」
ボ「おっけー、どうしておばあちゃんの口はそんなに臭いの?」
ツ「そこじゃねぇだろ!大きさに関して聞いてこい」
ボ「やっぱり肉食だから臭いの?」
ツ「気づいてんだろ!狼だってよぉ!気付かないでいてくれよ。大きさのこと聞いて」
ボ「おばあちゃんの口は、どうしてそんなに大きいの?」
ツ「それはね――」
ボ「次の4つのうちから選びなさい。A.口が裂けたから、B.人類の進化、C.――」
ツ「なんで選択形式なんだよ!こっちで答えさせろ!」
ボ「おばあちゃんの口は、どうしてそんなに大きいの?」
ツ「それはね、お前を食べるためだよー!」
ボ「きゃー!醤油派?ソース派?」
ツ「のんきか!食べるとき何かけるか聞く余裕ねぇだろ!食べられるんだぞ今から」
ボ「どうせなら美味しく食べてもらいたいでしょうが!」
ツ「そういう問題なの!?食べられる前提でいいの!?もういい、赤ずきん!お前を食べてやるー!がおぉー!」
ボ「きゃー!ってこらー!ちゃんといただきますを言え!!」
ツ「真面目だなぁ!もういいよ」